理事長所信

一般社団法人 愛知中央青年会議所
第36代理事長  稲吉 陽平

はじめに ~足跡~

終戦後35年経過した1981年、全国で695番目に立ち上がった青年会議所として、愛知三好青年会議所は誕生致しました。以来名称変更や一般社団法人格の取得を経て、昨年は創立35周年を迎えることが出来ました。これもひとえに、35年間地域のために運動を続けてこられた先輩諸兄のたゆまない努力と、地域行政並びに関係諸団体の皆様、地域住民の皆様のご理解・ご協力あってのことです。私たちが36年目の歩みを進めることが出来ることを感謝しなければなりません。

私たちの存在意義 

青年会議所は明るい豊かな社会の実現をめざし活動をしております。単年度制である組織はその1年を活動するだけでも私たちの責任と覚悟は相当なものです。それでは何故青年会議所メンバーは活動を続けてきたのでしょうか。それは、やはり自らの成長を信じてのことであると考えます。自らの成長が、組織の成長につながり、運動を通してそれが地域に伝播していくのです。
自らの成長には、決して自分だけではない何かのために生きようとする想いが必要であると考えます。それは地域や企業であり、家庭のためであるべきです。時には自分のためということもあるでしょうが、それはあくまで通過点であり、そこには目指すべき想いがあるはずです。私たちはその想いに未来の姿を強く明確に描くことで、志や使命感を具現化します。そして、誰のために何のために、それをどのように行うのか、物事の本質を捉えることで進むべき道が見えてきます。
  また、行動が伴わないと何も変化は起こりません。何事も、失敗を恐れて実行しないよりも、前向きに考えて決断し挑戦をした方が自分の可能性は必ず広がっていくものです。しかし、挑戦には必ず困難が立ちはだかります。そこには「何が何でも成し遂げたい」という強い意志を持ち、ひたむきな姿勢で立ち向かい続ける行動が必要です。時には失敗することもありますが、自ら挑戦し得た経験は、誰かに教えてもらったことよりも、はるかに価値のあることだと考えます。
 

会員拡大の重要性 ~存在意義の共有~

 会員数が30名以下となっている現在、私たちにはどのような役割が求められるでしょうか。まずは地域のための運動体機能です。その運動を通して地域に意義のある成果をもたらすためには多くの会員が関わる必要があります。すべての運動は意義があり、かつ魅力的なものであるべきです。そして私たち責任世代の人間は、謙虚に愚直に運動を展開することで、学び舎たる青年会議所で多くの事を学べる機会に面しています。次に会員の人間力向上です。2016年度は事業を通して会員の個性を磨く機会を創出します。そして、輝きを増した魅力溢れる人財が愛知中央青年会議所の魅力を伝えていく会員拡大を推進してまいります。
今後も地域の百年先(みらい)に向けて地域に根差したまちづくり運動を提案・実行していくためには、魅力ある組織であるということを自分の言葉で会員が語れる力を育むことが最も重要です。そのために私たちがどのような考え方で運動をし、組織として何が魅力なのかを共有することのできる事業を行なってまいります。
 

大切な仲間とのつながり ~魅力の共有~

 私たちは一人では何も成し遂げられません。組織である以上、仲間の存在は不可欠で尊いものです。その大切な仲間と交流を図ることは、組織を維持することに必要なことでもあります。会員同士の交流は組織を活発化させ、運動体機能を増幅させます。互いに切磋琢磨することで自らの人間力が向上し、社業へのフィードバックも期待することが出来るでしょう。
 青年会議所は特性上、他の地域の青年会議所メンバーと交流を図ることが出来ます。この地域以外の青年会議所メンバーを知ることは、広く内外に同志を作ることができ、また自らを知ることにつながります。しかしこの貴重な機会はただ待っているだけでは掴み取る事はできません。自ら望み、積極的に対外事業へ参加することでそれらを掴み取ることができます。思い切って、いつもと違う自分を感じてみましょう。
 

地域とのつながり ~求められるもの~

私たちの青年会議所は創立以来、日進市・みよし市・長久手市・東郷町の三市一町で運動を進めてまいりました。広域的な運動が発信できる反面、特定の地域を限定とした運動を避けてきたのも事実です。2016年度は各地域に根差した活動を行ってまいります。
 
<いつまでも暮らしやすい みどりの住環境都市 日進>
日進市は名古屋市と豊田市の間に位置する恵まれた立地条件にあります。今日の活力やにぎわいを持続的に発展させていくためには、私たち青年会議所や各種団体と行政が連携をし、暮らしを支える産業の振興が必要不可欠であります。現在までの経験や実績を踏まえた、人と人との出会いやふれあいの機会を創出し、産業振興の一翼を担う事業を展開します。
 
<みんなで築く“ささえあい”と“活力”の都市(まち)みよし>
みよし市は自動車を中心とした基幹産業を中心に発展してまいりました。みよし市が基本構想に掲げる、みんなで築く“ささえあい”と“活力”の都市(まち)をめざし、行政との協働を実践し、魅力ある活力とにぎわいのまちの実践に向け事業を展開します。
 
<人が輝き 緑があふれる 交流都市 長久手>
2005年には愛・地球博が開催され、万博理念を継承し、自然・環境にこだわるまちとして発展してきました。東部丘陵を水源とした香流川には現在でも豊かな自然環境が残っており、様々な生物が生息し、多様な生態系を形成しております。人と自然にやさしい持続可能な循環型社会の実現・自然環境を次世代に受け継ぐまちの実現を目指し、事業を展開します。
 
<人とまち みんな元気な 環境都市 東郷>
団塊の世代の退職による余暇時間の活用や指導者不足により、様々な世代の健康づくりや生きがいづくりの手段として生涯スポーツは大きな役割を担っています。人とまち、みんなが元気になるまちを目指し、次代を担う子供たちの生きる力を育み、交流が活発なまちを目指し、青少年育成事業を展開します。
 

組織運営の重要性 ~不言実行~

私たちの運動の全てが、議論を重ね、会議を重ねることで実行されています。その会議の運営の全ては自らで設営し、費用も私たちの会費から捻出されています。青年会議所の魅力はそこにもあり、公益的な運動を発信する立場の青年会議所の根幹である組織運営は、
厳しい課題を自ら課すことで組織の効率的で規律ある運営につなげる事ができ、社会からも信頼される組織になることが出来ます。
2016年度は自ら決定したルールを遵守し、堅実な組織運営を行うことで、組織の明るい百年先(みらい)への土台作りを再構築してまいります。組織運営の基盤とも言うべき総務は、愛知中央青年会議所として地域に運動を展開していくため、組織としての円滑な運営が行われる必要があり、同時に効果のある運営も必要であります。組織運営とは、最終的にメンバー一人ひとりの活動が如何なく発揮できるようサポートし、個々の素晴らしい力を全体の力としてより集約できる組織となるために存在すべきであります。メンバー全員が目指すべき方向性を合わせ、共創の意識をもって主体性ある活動を行うことは、組織内活動の活性化に繋がり、同時により効果のある運動に繋がっていきます。そのため私たちは組織の在り方を捉え、メンバー全員で共有していく必要があります。 広報においては一人でも多くの地域住民を巻き込み、地域に志を共にする仲間を増やすため、青年会議所の活動を地域に発信することは非常に重要であり、ホームページやメディア等を用いてより効果的な広報を行うべきであります。また財務においては、一般社団法人として地域に有益な運動を展開していくために、健全かつ適正な財務運営を行なうのは言うまでもありません。私たちの運動・活動の礎となる財源はメンバーの会費から成り立っており、この貴重な財源を公益団体として有益に運用するためにも、確かな見識をもって財務の管理を行ってまいります。
 

さいごに ~足音~

 35年間、先輩諸兄が残されてきた足跡はあまりにも偉大です。自らの時代を生きる私たちが歩みを止めるわけにはいきません。会員数の減少や私たちの存在意義を共有出来ていない実状もあります。しかし私たちは青年会議所メンバーとしての責任と自覚を失うことなく、自らの成長を信じ、この地域に存在を示すべく足音を立てていかなければなりません。
 
失敗したとしても全力で取り組んだのなら自信を持って下さい。
どんな人間にだって心折れそうな日もあります。「もうダメだ」って思えてきても大丈夫です。それを乗り越えられればもっと強くなっていけます。
 
自分を信じ、大切な仲間を信じ、次の一歩につながる歩みを進めていきましょう。
 
どんなに小さな足音だって、聞いてる誰かは必ずいます。
どんなに歩幅が少なくたって、必ず私たちは発展し成長していきます。
 
~大切な仲間と共に今を精一杯生き、足跡につながる足音を刻んでいこう~

About Us

愛知中央青年会議所について

愛知中央青年会議所

 
社団法人 愛知中央青年会議所とは、愛知県日進市、 みよし市、長久手市、愛知郡東郷町という3市1町を活動エリアとして、地域社会の 発展と平和に寄与することを目的として 活動している青年会議所です。
 


独立宣言文

 
時は無限、利は自然の恵み、人の輪は三河の心と尾張の才知 青年の町三好は自然との調和のもとに発展の途上にある。 我々はその『英知』と『勇気』と『情熱』をここに結集する。
純はすべてをとかしつらぬき通す力をもつ、その心こそあたたかく偉大である。 ここに愛知三好青年会議所の創立を宣言する。

1981年 10月 18日

愛知三好青年会議所
 


新名称宣言

 
愛は人の心を癒し
信は調和をもたらす
純は熱き心を呼び覚ます。
悠久なるの鼓動を感じ
愛知中央の地より世紀の扉を開かん

2000年 6月20日

社団法人 愛知中央青年会議所

21世紀を明るい新世紀とするべく このマニュアル化、デジタル化された中にも人の心に訴える慈愛と 道徳による人間社会の完成により、共に助け、信じあえる仲となり 共生共敬の精神により大きな(輪)を築いていく。 純粋な行動・思考は人々に感動を与えその感動が人々を熱き心にて行動を促す。 永久の人々、自然の声、命を感じ正しき道への信念を持って突き進む。 我々は、JAYCEEとして、愛と信と純とをこめて愛知中央を宣言する。

Organization Chart

組織図

百年森運動

百年森運動

百年森運動が始まった理由

 1、地域の環境の変化  尾張と三河の境の地で開発が行き届かない場所が多く残されていたところに東名三好ICの建設が行われることになった時、1988年の愛知三好JC(当時)の2回の例会で、自然界の生態系の持つ意味や、自然との共生の重要性を訴える企画をし、一般住民に投げかけたところ、多くの人たちが自然環境の変化に興味があることを確認することができた。そこから、「このまま都市化の波に飲まれるだけでいいだろうか」「JCとして何かこの地域のために、組織の目的を明確にすべきだ」などの会員の意見が表面化し、社会開発(まちづくり)運動に対する気運が高まった。(1989年)  

2、JC組織内の問題  単年度制(1年ごとに各々の役職が変わってしまうこと)における弊害のため、「たった1年の活動の成果を形に残すという形式にとらわれてしまって、本当の意味でのまちづくりはできない、組織そのものが目的を持つべきだ」との声が、会員の中から多く聞かれるようになった。(1989年)

調査・勉強の開始

 1987年 4町(当時)の自然環境を調査・勉強
1988年 自然との共存を考えるための映画・劇を一般公開
1989年 4町にメンバーを中心とした「まちづくり」を考える会を発足
1990年 エリア内の実態調査…セスナ機を飛ばして空からの空中撮影
1990年 無作為抽出による住民6,000名を対象にした住民意識調査
1990年 愛知三好青年会議所10周年

「これまでは自己研鑽のみだったが、次の10年は地域の発展充実に大きく貢献できたと思えるようにしたい」
「この地域における愛知三好青年会議所の位置付けを考え、行政及び各諸団体との連絡提携を推進したい」

調査・分析「まちづくり元年」

 1991年
・住民意識調査の分析と報告書の作成
・まちづくりに生かせる資産(緑、水辺、歴史、行政計画等)の調査を行い、夢ビジョン「百年森構想」を策定
・2年間の調査・分析結果の集大成を地域に発表「住民意識調査の結果報告」「緑と開発の調和・夢ビジョン『百年森構想』「百年森構想」…尾張と三河の行政区の違う境界線上に帯状に残されている自然環境と、その中の所々に点在する公共性の高い施設を拠点(住民の憩いの場)とし、それらを線で結んだ水と緑と歴史のグリーンベルトを創出しようとするもの。今ある自然環境を百年間守ることができたら「百年後にはすごい資産価値になる」「百年後のこの地に暮らす人に喜んでもらえる」という想いから百年森構想と呼んだ。

百年森構想から運動へ

 1992年2月度例会で日本JC直前会頭川島偉良氏より、「百年森構想は、ストーリー(物語)だけ でストラテジー(戦略)がない」と指摘される。

百年森運動の基本理念
『人間回復できるまち』…これまでの経済最優先の社会は様々な行き詰まりを見せており、これからは人間性を復興させる社会づくりを目指す。
『自己実現できるまち』…自然との共生、住民同士の共生などの共生社会、地方分権の受け皿づくりのための人づくりを目指す。

3つの分野の設定
「人と百年森」 … 「新たな心づくり」を課題として、主に「ひとづくり」に取り組む。
「都市と百年森」…「緑を生かした都市(まち)づくり」を課題とし、百年森運動の発端となった「百年森構想」の実現を図る。
「社会と百年森」…「新たなシステムづくり」を課題として、主に住民参加型のまちづくりを目指す「市民会議づくり」に取り組む。

上記のことはJCだけではとてもできず、実現するためには、「住民の共感を得る」「自分たちのこ とは自分たちでという住民の意識の芽生えが必要」「私たちの声が行政に届くような社会システムの構 築が必要」であり、これらのことがスパイラル状に絡み合って「明るい豊かな社会」を目指す運動の総 称」を百年森運動と呼ぶようになった。

百年森宣言

 1995年は、「百年森アクションプログラム」によると、中間評価の年であり、これまでの検証を 行った。その結果、「百年森宣言」を採択し、創立15周年記念式典の場において地域に発表した。

百年森宣言…「私たち愛知三好青年会議所は『あなたにとってふるさととは…人間回復・自己実 現できるまち』の実現をめざし、この地域の百年先(みらい)を見つめ、この地域に根ざしたま ちづくり運動を提案・実行することを誓う」
※愛知三好青年会議所は現在は愛知中央青年会議所

基本理念…「あなたにとってふるさととは…人間回復・自己実現できるまち」
目的…「基本理念の実現を目指し、この地域の百年先を見据え、この地域に根ざしたまちづくり運動を提案・実行すること」
意味…「『百年』は、百年先、未来、将来を表し、『森』は尾張と三河の境で開発地域でありながらも比較的自然環境の豊富なこの地域の特色を表す。」
発端…東名三好ICの開発計画に端を発したJCのまちづくり運動の意識の高揚による組織内部の問題点の克服と全会員の意識改革によるJCの目的づくりを行うとともに、このまま都市化の波に飲まれるのではなく、また、あるがままの自然をただ全部残すというのでもなく、「緑と開発の調和」を考えながら百年後の子供たちにきっと喜んでもらえるまちを残そうとの想いから始まる。

百年森宣言の具体的な継続事業の開発

 「もっと百年森運動を地域にPRしたい」「市民ネットワークづくりの強化を図り愛知池を中心とす る百年森構想の実現化を目指したい」との想いから、具体的な継続事業を開発。(1996年~)

「ノーマライゼーション運動会」の企画・設営…障害者と健常者とが共に助け合いながらゲームを楽 しむことにより、これまで私たちと障害者との間にあった見えない垣根が取り払われ、まさに百年森運 動の理念と、百年森運動が目指す市民共生社会へ一歩近いた。

「地域に根ざしたまちづくり」を行うために

 一市三町の広域的なまちづくりを考える団体としてふさわしい名称として、2000年6月20日、 創立20周年記念式典と共に、(社)愛知三好青年会議所→(社)愛知中央青年会議所に名称変更を行 った。

ノーマライゼーション運動会の運営移管

 1996年から毎年ノーマライゼーション運動会は開催されたが、回を重ね問題点が明確になった。  その主たる原因は、金銭面・人材面での青年会議所中心の設営にあり、市民団体が事業の日だけ参加 していたために、百年森運動も理解されにくく、基本理念も達成されにくい環境になっていた。そこで1999年より市民団体の代表・地域住民・問う青年会議所メンバーによる企画会議、また、2001年より、ノーマライゼーション運動会実行委員会を立ち上げ、市民団体も運動会で行う種目を考えたり、運動会当日に市民団体の活動発表する計画を出したりするなど、主体的に行動できるようになり、基本理念の達成に向けて動き出した。そして、2002年には、大学の先生や学生、過去に運動会の当日参加者だった方が設営側として参加するなど、実行委員会のメンバーが多様化して意識が高まった。また、ノーマライゼーション運動会も地域社会に定着して、運営の協賛金を実行委員会の力で集めることが可能となり、青年会議所の捻出する事業費はわずかなものとなった。2003年には全て実行委員会の集めた予算にて運動会が行われ、運営移管された。